日本一の薬木巨樹・メグスリノキが育つ会津盆地喜多方・雄国山麓からブログ発信中!田中雅人喜多方市議 1級建築士 飯豊の山の案内人 Eメール miyabi-7@plum.plala.or.jp
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2017年 11月 20日 ( 1 )

至極真っ当な提言!その③

内田樹氏が論じる、③/4
<安倍首相を「独裁」とする理由

 今さら定義を確認するまでもないが、立法府は「法律の制定者」であり、行政府は「法律の執行者」である。この二つが別の機関であるような政体を「共和制」と呼び、法律の制定者と執行者が同一である政体のことを「独裁制」と呼ぶ。安倍首相は「私は立法府の長である」と口走った時に「日本は独裁制である」と言い間違えたのである。普通なら政治生命が終わりかねないほどの失言であり、後からこっそり議事録を書き換えて済む話ではない。

 けれども、メディアも有権者もそれを咎(とが)めなかった。それは首相自身と同じように人々もまた「立法府は行政府の長が実質的には支配している」と実感していたし、「それで何が悪いのか?」と思う人さえたくさん存在していたからである。

 自民党改憲草案の「目玉」は緊急事態条項であるが、これは平たく言えば、民主的手続きによって独裁制を成立させる手順を明記したものである。

 草案によれば、内閣総理大臣は「外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害」に際して緊急事態の宣言を発することができる。緊急事態が宣言されると、憲法は事実上停止され、内閣の定める政令が法律に代わる。衆院選挙は行われないので議員たちは宣言下では「終身議員」となる。つまり、発令時点で与党が過半数を占めていれば、国会が承認を繰り返す限り、宣言は半永久的に延長できるのである。そのような宣言の無制限の延長は不当だという国民の声は議会外でのデモやストで表示するしかないが、そのような行為そのものが「社会秩序の混乱」として緊急事態宣言の正当性を根拠づけることになる。

 そういう出口のないループに日本国民を閉じ込めるために緊急事態条項は整備されているのである。だが、このように「独裁制への移行」が着々と準備されていることに対して、国民の反応はきわめて鈍い。それどころか先に述べたように「独裁制で何が悪いのか?」と不思議がる人がもう少なくない。今回の選挙でも、若い有権者たちが自民党に好感を持つ傾向があることが指摘された。それは自民党が作ろうとしている独裁制社会が彼らにとって特に違和感のないものだからである。

 若い人たちは「株式会社のような制度」しか経験したことがない。トップが方針を決めて、下はそれに従う。経営方針の当否はマーケットが判定するので、従業員は経営方針について意見を求められることもなく、意見を持つ必要もない。それが、彼らが子どもの時から経験してきたすべての組織の実相である。家庭も、学校も、部活も、バイトも、就職先も、全部「そういう組織」だったのだから、彼らがそれを「自然」で「合理的」なシステムだと信じたとしても誰も責めることはできない。

 構成員が民主的な討議と対話を通じて合意形成し、リーダーは仲間の中から互選され、その言動についてつねにきびしい批判にさらされている「民主的組織」などというものを今時の若い人は生まれてから一度も見たことがないのである。見たことがないのだから、彼らが「そんな空想を信じるなんて、あんたの頭はどこまで『お花畑』なんだ」と冷笑するのは当然なのである。

 以上が総選挙結果を見て感じたことである。政権与党の目標は、さしあたり国会は立憲デモクラシーのアリバイ作りのための空疎なセレモニーの場であり、議員たちは「選良」というにはほど遠い人物ばかりであるという印象を国民に刷り込むことである。これは日々成功し続けている。そうして立法府の威信は崩壊し、行政府への権限集中に対する国民的期待が高まる。そういう文脈の中で見ると、安倍政権のすべての行動が周到に準備されたものであることがよくわかるはずである。 (つづく)

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錦帯橋の下方部


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by tanaka-masato | 2017-11-20 20:41 | 平和と憲法のこと | Comments(2)